加藤泉一寄生するプラモデル

Limited Edition Exhibition Poster Lithograph, 36 x 39.5 cm, ed.240, 2022
Courtesy of Izumi Kato Studio
©︎ Izumi Kato

待望の個展がワタリウム美術館で開催されます!
ぜひ、足をお運びください!!


加藤泉一寄生するプラモデル
IZUMI KATO ― Parasitic Plastic Models

新型コロナウイルスのパンデミックで展覧会が延期になったり中止になったりして、久々にスタジオでゆっくりプラモデルを作っていた。
ヤフオク!やeBayで調べていたら、動物や昆虫などのプラモデルを発見し、昔のプラモデルは面白いなーと思い、買いあさっていた。作っているうちに、これは作品に使えると思いだし、早速木彫にひっつけてみた。
これはいけると思い、どんどん作った。そうしているうちに、友人に「ゴモラキック」の神藤政勝さんを紹介された。彼はフィギュアやプラモデルを作っている人だった。「何かやりたいですね!」と話をしているうちにすぐに「プラモデル、しかも石作品の!」と閃いた。
石がプラモデル。デカールが絵。
今までの僕の作品ともつながるグッドアイデアだと思う。 もちろん箱も僕が作るのだ。
素晴らしい。モチベーションはMAXだ。
そうしてプラモデルが完成し、この展覧会を開催することになりました。
プラモデルを使ったシリーズと、それらにつながる僕の作品を見てください。

加藤泉

加藤さんとは2022年のリボーンアート・フェスティバル(*)への参加をお願いして、何度かお目にかかり、アトリエを訪ねているうちに、この「寄生するプラモデル」の開催となった。
リボーンアート・フェスティバルのために作られたこの作品は、石巻近くで採れる稲井石を組んで、それに直接ペイントした「ヒトのような像」で、東日本大震災で最も大きな被害のあった南浜地区に唯一残った蔵の前に3体展示されていた。気持ちよさそうに横たわるその姿は、観るものをほっとさせ、生の喜びのようなものを感じさせる。
加藤さんの作品にはこの「ヒトのような像」が必ず登場する。精霊なのか、神なのか、縄文人のような古代人か、あるいは未来から来たものか。インタヴューで自身が島根県安来市の出身で、妖怪漫画で有名な水木しげるが中海を挟んだ対岸の鳥取県境港市の出身で同じ文化圏であることを話されていたが、加藤さんがそうした八百万の神と自然に囲まれて育ったことは作品に大きな影響を与えていると思う。だからといって加藤さんの作品は神がかったいわゆる"ありがたい"ものではない。今回の展覧会で使われる素材は、これまでの木や石といった自然素材に加えてプラスチック製のプラモデルやソフトビニールも登場する。加藤さんの少年期のノスタルジックな素材感からやってきたものだろう。今、加藤さんはそんな自身の育った場所や時間や潜在意識の中にある自然への思いなどを縦横無尽に取り込んで、のびのびと作品を作り続けている。
そんな現在の加藤さんの姿は、ワタリウム美術館がこれまで続けてきた美術との向き合い方とどこか通じるところがあり、同志の感のようなものを抱いた。自由や自然の力を見失いかけている2022年の東京で、加藤さんの作品を紹介できることをとても嬉しく思っている。

 

和多利浩一(ワタリウム美術館)

*本展カタログのためのテキストより


  • 会期:2022年11月6日(日)〜 2023年3月12日(日)
  • 休館日:月曜日(1/9は開館)、12/31-1/3
  • 開館時間:11:00 – 19:00
  • 入場料:大人 1,200円 / 大人ペア 2,000円 / 学生(25歳以下)・高校生・70歳以上の方・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳お持ちの方、および介助者(1名様まで) 1,000円 / 小・中学生 500円
  • 主催/会場:ワタリウム美術館(東京都渋谷区神宮前3-7-6)
  • 協力:Reborn-Art Festival 実行委員会

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